目次
1)多様化している保育の場
保育の仕事には大きく分けて、保育士と幼稚園教諭があります。
上記は同じようで、資格や免許、仕事内容も異なってきます。
それ以外に、少子化の進行とともに少子化対策が求められ、2015年に子供・子育て支援新制度が実施されました。
この制度により、幼稚園、保育所、認定こども園への補助金が、子供が保育の場で過ごす時間の長さに基づいた共通の仕組みになりました。
それに伴い、家庭的保育、小規模保育等の事業にも共通の仕組みで補助金が支給されるようになりました。
地域の実情に応じた子育て支援のための地域子供・子育て支援事業も始まりました。
この制度の中で幼保連携型認定こども園は、学校及び児童福祉施設という新たな法的な位置づけになりました。
また、地域子供・子育て支援事業では、全ての家庭を対象とした利用者支援事業や地域子育て支援拠点事業等の親子の相互交流の支援の充実、共働き家庭を主に対象とした延長保育、病児保育、学童保育の充実や、妊娠から出産後までの支援の充実が図られています。
この様に現在では、保育の場が非常に多様化しています。
1-1.保母から保育士へ
幼稚園教諭免許は、1947年に学校教育法が制定された時から男女問わず取得可能でした。
保育士のかつての正式名称は保母で、女性しか資格を取得できませんでした。
その後、1977年に保母資格を男性が取得できるようになり、男性保育者の通称は保父と呼ばれていました。
男性保育者の増加と男女雇用機会均等法が施行されたことによって保母という正式名称が見直され、1999年の児童福祉法施行令の改正により、男女ともに正式名称が保育士になりました。
近年は、保育所や幼稚園で男性の保育者を見ることは珍しくありません。
2010年の国勢調査では、保育士として就業をしている男性は約1万3千人、幼稚園教諭として就業している男性は約6千人います。
統計により違いはありますが、保育士全体に占める男性の割合は2%~6%程度です。
男性保育者が徐々に増えてきているのが現状です。
2)幼稚園と保育園の違い
幼稚園も保育園も小学校に入学する前の子供たちが通う保育の場です。
これらの違いは一見分かりにくいかもしれませんが、それぞれ異なる特徴と目的があります。
2-1.幼稚園と保育園の特徴と目的
保育園は法律上、保育所と呼ばれています。
保育所は厚生労働省が管轄する、児童福祉法に基づく児童福祉施設に位置付けられています。
児童福祉法では、保育所の目的を【保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うこと】と定めています。
一方、幼稚園は、学校教育法に基づく学校という位置付けで、文部科学省の管轄です。
学校教育法では、幼稚園の目的を【幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長すること】と定めています。
児童福祉施設としての保育所と学校としての幼稚園という異なる位置付けのため、通園する子供の年齢や保育時間が異なります。
保育所には0歳から小学校就学前の乳幼児が通い、幼稚園には満3歳から小学校就学前の幼児が通園しています。
また、保育所の保育時間は原則として8時間、幼稚園の保育時間は4時間を標準とすると定められています。
保育担当者の資格もそれぞれ異なり、保育園では保育士資格、幼稚園では幼稚園教諭免許状が必要です。
2-2.幼稚園の今の在り方
上記の通り、法律上では異なる幼稚園と保育園ですが、近年の少子化による園児の減少と共働き世帯の増加に伴い待機児童が増えた影響を受け、保育時間を延長して預かり保育を行う幼稚園が増えています。
3)幼稚園教諭と保育士の違い
上記に記した通り、幼稚園教諭と保育士の大きな違いはそれぞれの資格です。
それぞれの資格について下記に説明します。
3-1.保育士資格について
保育士になるためには、保育士資格が必要です。
保育士資格は、厚生労働省が認定する国家資格です。
厚生労働大臣が指定する保育士養成施設の大学・短期大学・専門学校などで必要な単位を取得することで、卒業時に取得することが可能です。
また、上記の学校に通うことなく、厚生労働省の基準に基づいて都道府県が実施する保育士試験に合格することでも取得可能です。
保育士の主な就業場所は保育所ですが、他にも児童館や乳児院、児童養護施設、障害者施設等、様々な児童福祉施設で働くことが可能です。
3-2.幼稚園教諭免許について
幼稚園教諭になるためには、幼稚園教諭免許状が必要です。
幼稚園教諭免許状は、文部科学省が認定する幼稚園教諭養成校である大学・短大・専門学校において、教員養成課程を履修して必要な単位を取得することで卒業と同時に取得できます。
通学だけでなく、通信教育を行っている大学と短大もあります。
幼稚園教諭免許状には、1種免許状と2種免許状、専修免許状の3つがあります。
専門学校・短期大学では幼稚園教諭2種免許状、4年制大学では幼稚園教諭1種免許状が取得出来ます。
どの種類の免許状でも仕事の内容に相違はありませんが、幼稚園によっては給与面で異なる場合があります。
また、園長等の管理職になるには、1種以上の免許状が必要な場合もあります。